山中漆器の工房見学|通訳ガイドも使う英語フレーズ集|木製から近代漆器まで工程別

日本工芸品

「今から山中漆器の工房に案内しなきゃ💦」そんなあなたへ!

takumi

こんにちわ!日本工芸ウオッチャー&ガイドのtakumiです。「重要顧客に週末、工房へ行きたいと言われた!」「でも準備する時間がない!」…そんなシチュエーションってよくありますよね。

このブログでは、観光ガイドや企業接待で「今すぐ現場で使える」英語フレーズを、伝統的な「木製漆器」から現代の「近代漆器」まで、工程順にまとめてあります。お相手の興味や知識レベルに合わせて、必要なところだけピックアップして伝える際にぜひチェックしてみてください!

※本記事は、職人の作業説明と基本的なQAに特化しています。より専門的な詳細は公式サイトをご参照ください。

《山中漆器》には大きく分けると『木製漆器』『近代漆器』の2種ありますが、それぞれの各工程を実際に一緒に見ている想定で説明例を置いています。

お急ぎの方は下記工程ボタンからピンポイントアクセス!

1. 木製漆器(伝統工程)

2. 近代漆器(現代工程)

0. 工房見学前の事前説明について(ご参考)

 今回テーマではありませんので、具体的な工房見学に入る前にお相手に最低限お伝えした方が良いと思われる点をご参考までにご紹介します。今回は「工芸品」イコール「陶磁器」と思っておられる(陶器、磁器、漆器の区別が不明瞭な)多くのインバウンドを想定して置きましたが、何事もお相手の知識、ご経験、好みによりますので、状況に合わせて適当に選択、修正してお試しください。👤英語音声は米国男性話者です。

《日本語》

  1. 日本の伝統工芸品の食器は大きく分けて陶磁器と漆器に分けられます。
  2. 大きな違いは、陶磁器は粘土を整形して作りますが、漆器は木を削って作ります。
  3. 前者は固く熱に強いですが落とすと壊れやすい一方、後者はその逆の性質を持ちます。
  4. 和食は両者の特徴に合わせて、料理に合わせて使い分けられます。
  5. 一般的に、漆器は汁物、煮物のお椀や、料理皿を置くトレーによく使われています。
  6. 漆器は木で形を作る工程、漆で強度を出す工程、蒔絵で装飾する工程の3工程に分かれています。
  7. 漆器の多くは数百年前から日本各地で作られていて、競争力を高めるため、各工程の分業化と専門化が進みました。
  8. 山中漆器は木の工程でコスト、品質面で優位性があり、木地の生産量は日本でトップクラスです。
  9. 歴史的に政府に頼らず、先進性の気風もあり、木の伝統素材に加え、プラスチックの現代素材も取り入れています。
  10. 山中漆器では木の伝統素材の作業工程と現代素材の作業工程の2種の見学ができます。

《英訳例》

  • 1.Traditional Japanese tableware can be broadly divided into two categories: ceramics and lacquerware.
  • 2.The main difference is that ceramics are made by shaping clay, while lacquerware is made by shaving wood.
  • 3.The former is hard and heat-resistant but fragile when dropped, while the latter has the opposite characteristics.
  • 4. Japanese cuisine is adapted to the characteristics of both, and they are used in different ways to suit different dishes.
  • 5. In general, lacquerware is often used for soup and stew bowls and for trays on which food plates are placed.
  • 6. Lacquerware is made in three processes: shaping with wood, strengthening with lacquer, and decorating with maki-e (gold-relief lacquering).
  • 7. Most lacquerware has been made in various parts of Japan for hundreds of years, and in order to increase competitiveness, each process has been divided and specialized.
  • 8. Yamanaka Lacquerware has an advantage in cost and quality in the wood process, and is one of the top producers of wood base in Japan.
  • 9. Historically, the artisans has not relied on the government and has a spirit of forward-thinking, and in addition to traditional materials made of wood, it also incorporates modern materials made of plastic.
  • 10. At Yamanaka Lacquer Ware, you can see two types of work processes, one for traditional wooden materials and the other for modern materials.

👥10文連続 英語音声

📘 Glossary / 用語集

  1. Ceramics & Lacquerware / 陶磁器と漆器
    • Ceramics☛陶磁器(とうじき)– 粘土を成形して焼成した器。硬く、耐熱性が高いが落とすと割れやすい。
    • Lacquerware☛漆器(しっき)– 木を削って形を作り、漆を塗り重ねて仕上げる器。軽く、衝撃に強い。
    • Tableware Selection☛器の使い分け– 和食では、料理に合わせて陶磁器と漆器を使い分ける文化がある。
  2. 🍲 Uses of Lacquerware / 漆器の用途
    • Soup & Stew Bowls☛汁椀・煮物椀– 漆器が最もよく使われる代表的な用途。
    • Serving Trays☛トレー(お盆)– 料理皿を置くための漆塗りの台。
  3. 🪵 Three Processes of Lacquerware / 漆器の三工程
    • Wood Shaping☛木地作り(きじづくり)– 木を削って器の形を作る工程。山中漆器の得意分野。
    • Lacquer Strengthening☛漆塗り(うるしぬり)– 漆を塗り重ねて強度と耐久性を高める工程。
    • Maki-e Decoration☛蒔絵(まきえ)– 金粉・銀粉などで装飾する伝統技法。
  4. 🏭 Division of Labor / 分業と専門化
    • Specialized Production☛分業化・専門化– 数百年の歴史の中で、各工程が独立し高度に専門化された日本の漆器産業の特徴。
  5. 🌲 Yamanaka Lacquerware / 山中漆器(やまなかしっき)
    • Yamanaka Lacquerware☛山中漆器– 木地の生産量が日本トップクラス。コストと品質に優れた木工技術を持つ。
    • Wood Base Production☛木地(きじ)– 山中漆器の強みである木の器の土台部分。高度なろくろ技術で知られる。
    • Forward-Thinking Craftsmanship☛先進性の気風– 歴史的に政府に頼らず、独自に発展してきた職人文化。
  6. 🧪 Materials / 素材
    • Traditional Wood Materials☛木の伝統素材– 欅(けやき)などを用いた伝統的な木地作り。
    • Modern Plastic Materials☛現代素材(プラスチック)– 山中漆器が積極的に取り入れている新素材。軽量で量産に適する。
  7. 👀 Factory Tours / 工房見学
    • Traditional Woodworking Tour☛木の伝統素材の工程見学– 木地作りや漆塗りなど、伝統的な漆器制作工程を見られる。
    • Modern Material Tour☛現代素材の工程見学– プラスチック素材を使った現代的な漆器制作工程を見られる。
匠 Takumi

💡《匠のひとこと解説:なぜ “lacquerware” が通じないのか?》

匠 Takumi より

工房をご案内していると、海外ゲストの方に
“What is lacquerware?”
と聞かれることが本当に多いんです。💬

実は、“lacquerware” という単語は辞書に存在しても、その文化が存在しない国がほとんどなんですね。
日本では当たり前の「漆のお椀」も、欧米の多くの方にとっては “見たことがない食器” です。🍽️

欧米の器文化の中心は:
ceramics(陶器)
🍷 glass(ガラス)
🍴 metal(ステンレス・銀器)
※木の器は “rustic décor(田舎風インテリア)” 扱いされることも…

つまり、“wooden bowl” と言っても、食器として想像されないのです。🌏
漆器文化が根付いているのは東アジアのごく一部。「単語は通じても、概念が通じない」。これが、漆器の説明がひとことでは伝わらない理由なんですね。

⭐ ゲストの理解が深まる魔法のフレーズ

“Lacquerware is wooden tableware coated with natural lacquer.”

このように、素材・用途・文化背景をセットで説明すると、ゲストの納得感がぐっと変わりますよ!👍

1.木製漆器(作業工程)

 伝統的な木地ベースの工房見学をするパターンです。実際に一緒に目の前の作業を見ているので、こんなに細かい説明をする必要は勿論ありませんが、一通りの表現が念頭にあれば、相手の反応に合わせて臨機応変な対応が(特に「何故?」=作業意図=の説明はロジカルなインバウンドにはとても重要なので)できますので、下記のレベルで置いています。👉いつも通り、日本語で言えないことは英語でも言えませんので、日英の順で。👤英語音声は英国男性話者です。

1-1.木地挽き

ここは、動きが目でわかる木挽き工程なので、9ステップに分けています。

  1. 一本の木から出来るだけ、多くの器を作る為、まず丸太の木を輪切りします。
  2. その輪切りにされた木片から、作りたい器の大きさの木片を切り出します。
  3. その木片は強度を出す為、木目模様が器の縦方向に走るように切り出されます。
    • 👉山中漆器の特徴の「縦木取り(たてきどり)」ですが、ここではその意図だけ説明しています。山中漆器の特徴と言いたい時は、簡単に’In Yamanaka lacquerware’と添える手もあります。
  4. ろくろ挽きで目標の器の少し大きめの形状まで整えてから、自然乾燥の為、暫く寝かせます。
  5. 乾燥期間が短いと歪みが出るため、約3か月は必要と言われています。
  6. 木が安定した状態になって、外側、内側の順番に削り、木地として完成させます。
  7. 木を削る際には、装飾の為、表面に円状や渦状の模様をつけることもあります。
    • 👉山中漆器の特徴の「加飾挽き(かしょくびき)」ですが、ここも作業意図だけ説明しています。
  8. 木を削る為のカンナは、多様な作業ができる様に多くの種類があります。
  9. 完成度を高める為、職人はそのカンナを自ら作り、自らの手のように使いこなします。
匠 Takumi

⚙️《匠のひとこと解説:カンナの英語は plane じゃない?》

匠 Takumi より

工房案内で刃物を見せた際、ゲストから “Is that a plane?” と聞かれることがあります。
辞書的には正しいのですが、実はこれ、現場では大きな落とし穴になるんです。⚠️

英語の plane は、多くの人がまず airplane(飛行機) ✈️ を連想します。
特にノンネイティブのゲストは「なぜ今、飛行機の話?」と本気で混乱してしまうことも。

✅ 誤解ゼロ!おすすめの言い換えフレーズ

  • Woodturning blade(挽き物用の刃)
  • Special shaving blade(削り出し用の刃)
  • Woodturning tool(挽き物の道具)

特に山中の木地師が自作するカンナは、Hand-forged blades(手鍛造の刃)や Custom-made blades と呼ぶ方が、職人魂が真っ直ぐに伝わります。🛠️

💡 ワンポイント:
職人さんを指す Master woodturner(木地師)はとても自然で、世界中で通じる表現。山中の説明にもぴったりですよ!

英語は単語の正確さより、“誤解されない表現” が大切。現場では bladetool を中心に選んでみてくださいね!👍

《英訳例》

1. In order to make as many vessels as possible from a single piece of wood, the log is first cut into round slices.

2. From these slices, pieces of wood the size of the vessel to be made are cut.

3. The pieces of wood are cut in such a way that the grain pattern runs lengthwise on the vessel in order to give it strength.

4. After the wood is shaped to a slightly larger size using a rotating tool like a potter’s wheel, it is left to dry naturally for a while.

5. If the drying period is too short, distortion will occur, so it is said that about three months is necessary.

6.When the wood becomes stable, it is shaved on the outside and the inside in this order to complete it as a wooden base.

7. When shaving the wood, a circular or swirling pattern is sometimes added to the surface for decoration.

8. There are many types of blades (tools) used to sharpen wood for a wide variety of work.

9. In order to enhance the degree of perfection, the craftsman makes his own custom blades and uses it as if it were his own hand.

👥9文連続 英語音声

📘 Glossary 用語集

  1. Log Preparation / 丸太の準備
    • Log Slicing☛丸太の輪切り– 一本の木からできるだけ多くの器を作るため、まず丸太を輪切りにする工程。
    • Wood Block Cutting☛木片の切り出し– 輪切りにした木から、作りたい器の大きさに合わせて木片を切り出す作業。
  2. Tatekidori / 縦木取り(たてきどり)
    • Tatekidori (Vertical Grain Cutting)☛縦木取り– 木目が器の縦方向に走るように木を切り出す技法。強度が増し、山中漆器の特徴の一つ。
    • Wood Grain Orientation☛木目方向– 器の耐久性を左右する重要な要素。
  3. Rough Shaping & Drying / 荒挽きと乾燥
    • Rough Turning☛荒挽き(あらびき)– ろくろで器の少し大きめの形に整える工程。
    • Natural Drying☛自然乾燥– 木の歪みを防ぐために必要な乾燥期間。約3か月が目安。
    • Wood Stabilization☛木の安定– 乾燥によって木が落ち着き、仕上げ削りが可能になる状態。
  4. Final Turning / 仕上げ挽き
    • Outer & Inner Shaving☛外側・内側の削り– 木が安定した後、外側→内側の順に削って木地を完成させる。
    • Wooden Base (Kiji)☛木地(きじ)– 漆器の土台となる木の器。山中漆器の強み。
  5. Kashokubiki / 加飾挽き(かしょくびき)
    • Decorative Turning (Kashokubiki)☛加飾挽き– 木地を削る際に、表面に円状・渦状の模様をつける装飾技法。山中漆器の特徴。
    • Surface Patterns☛表面模様– 器に個性と美しさを与える装飾。
  6. Tools & Craftsmanship / 道具と職人技
    • Woodturning Blade (Kanna)  木を削るための刃物。用途に応じて多くの種類がある。
    • Hand‑forged Blades  職人が自ら鍛え、自分の手の延長のように使いこなす専用刃物。
    • Master Woodturner (Kijishi)  木地挽きを専門とする職人。山中漆器の中核を担う。
匠 Takumi

✨《匠のひとこと解説:なぜ turn に“削る”が含まれるのか?》

匠 Takumi より

工房案内をしていると、海外ゲストの方からよく
“Why do you say turn when you are shaving the wood?”
と聞かれます。

実は、木地挽きの世界では刃物は動かず、木が回るんです。⚙️
木が高速で回転し、そこに固定された刃が触れることで、自然と木が削れ、形が整っていきます。

つまり、木工では “回す(turn)=削って形を作る” という一連の動作をまとめて turn と呼ぶようになりました。🪵
これは陶芸家が “turn the wheel” と言うときに「回す+形を作る」がセットになっているのと同じ感覚ですね。

英語の turn は、木工の文脈では
rotate(回す)+ shave(削る)+ shape(形づくる)
をすべて含んだ“専門語”なんですね。🔪

だから、木地師が “I turn the wood.” と言えば、「木を回して削り、器の形を作っています」という、とても自然な表現になるわけです。👍

1-2.木地固め

ここは強度を高める為の目に見える変化が少ない工程なので、4ステップで置きました。👤英語音声は英国女性話者です。

《日本語》

  1. 変形を防ぐため、木地の木目に漆を染み込ませます。
  2. 傷みやすい縁の部分には補強の為、糊漆で布を張ります。
  3. 乾燥後、表面を平らにするために刃物やサンドペーパーを使います。
  4. 表面を滑らかにする為に、糊漆と欅(ケヤキ)の粉のパテで埋める作業を繰り返します。

《英訳例》

  • 1. To prevent deformation, lacquer is soaked into the grain of the wood.
  • 2. The vulnerable edges are covered with cloth using glue lacquer to reinforce them.
  • 3. After drying, a blade or sandpaper is used to flatten the surface.
  • 4.To smooth the surface, the process of filling in with glue lacquer and zelkova powder putty is repeated.

👥4文連続 英語音声

📘 Glossary 用語集

  1. Wood Stabilization / 木地固め(きじがため)
    • Wood Stabilization☛木地固め– 木地の変形を防ぎ、強度を高めるための下処理工程。
    • Lacquer Penetration☛漆の染み込み– 木目に漆を浸透させ、木を強化する作業。
  2. Reinforcement / 補強
    • Glue Lacquer (Nori-Urushi)☛糊漆(のりうるし)– 漆に米糊を混ぜた接着性の高い漆。布貼りや補強に使用される。
    • Cloth Reinforcement☛布着せ(ぬのぎせ)– 傷みやすい縁などに布を貼って補強する技法。
    • Vulnerable Edges☛傷みやすい縁– 使用時に負荷がかかりやすく、補強が必要な部分。
  3. Surface Flattening / 表面の平滑化
    • Surface Flattening☛表面を平らにする作業– 乾燥後、刃物やサンドペーパーで凹凸を整える工程。
    • Blade Tools☛刃物– 木地の表面を削って整えるための道具。
    • Sandpaper☛サンドペーパー– 細かな凹凸を滑らかにするための研磨材。
  4. Putty Filling / パテ埋め
    • Putty Filling☛パテ埋め– 表面を滑らかにするため、糊漆と欅(けやき)粉を混ぜたパテで埋める作業。
    • Zelkova Powder☛欅(けやき)粉– 山中漆器でよく使われる木粉。パテの材料として使用。
    • Repeated Smoothing☛繰り返しの平滑化– パテ埋めと研磨を何度も繰り返し、滑らかな木地を作る工程。

1-3.塗り

ここも目に見える変化が少ない工程なので、4ステップで置きました。👤英語音声は英国女性話者です。

《日本語》

  1. ここでは、次の上塗りを奇麗に仕上げる為、漆を刷毛で薄く塗り重ね、表面を平らにします。
  2. 山中塗では、次の蒔絵工程の為でなく、油入りの漆だけで完了させる技法がよく使われます。
    • 👉ここは変化をつける為、山中塗の「塗立(ぬりたて)」手法として説明してみましたが、他でも見られる手法なので、勿論’In lacquerware’だけでも良いです。
  3. その技法により、木目がそのままデザインとして楽しむことができます。
  4. 漆塗終了後は、均等に硬化させるため、自動回転する密閉棚に入れます。
    • 👉ここも「風呂棚」の表現は避けて、意図だけにしています。

《英訳例》

  • 1. Here, a thin layer of lacquer is applied with a brush to flatten the surface in order to finish the next top coat process beautifully.
  • 2. In Yamanaka lacquerware, the technique of using only oiled lacquer to complete the process is often used instead of applying the next coat of Maki-e.
  • 3. This technique allows the grain of the wood to be enjoyed as it is in the design.
  • 4. After the lacquering is completed, the lacquer is placed in an airtight rack that rotates automatically to allow it to harden evenly.

👥4文連続 英語音声

📘 Glossary / 用語集

  1. Lacquering / 塗り(ぬり)
    • Lacquering☛塗り– 漆を刷毛で薄く塗り重ね、表面を平らに整える工程。上塗りを美しく仕上げるための下準備。
    • Thin Layer Application☛薄塗り– 漆を薄く均一に塗り重ねる技法。仕上がりの品質を左右する。
    • Surface Flattening☛表面の平滑化– 上塗りが美しくのるよう、刷毛塗りで凹凸を整える作業。
  2. Nuritate Technique / 塗立(ぬりたて)
    • Nuritate (Oiled Lacquer Finish)☛塗立(ぬりたて)– 山中塗でよく使われる技法。蒔絵を施さず、油入りの漆だけで仕上げる方法。
    • Oiled Lacquer☛油入り漆– 塗立に用いられる漆。木目を美しく引き立てる。
    • Visible Wood Grain☛木目を楽しむデザイン– 塗立によって木目がそのまま意匠として活かされる。
  3. Drying & Hardening / 乾燥・硬化
    • Airtight Rotating Rack☛自動回転する密閉棚– 漆を均等に硬化させるための装置。湿度と空気の流れを一定に保つ。
    • Even Hardening☛均一硬化– 漆がムラなく固まるように管理する工程。
  4. Tools & Techniques / 道具と技法
    • Lacquer Brush (Hake)☛刷毛(はけ)– 漆を薄く均一に塗るための道具。
    • Layering Technique☛重ね塗り– 漆を何度も薄く塗り重ねて強度と美しさを高める方法。
匠 Takumi

✨《匠のひとこと解説:漆の “層” をどう英語で説明する?》

匠 Takumi より

漆の工程を英語で説明するとき、まず大切なのは“漆は何層にも重ねて仕上げる”というイメージをゲストに持ってもらうことなんです。🎨

専門語を覚えなくても、「下の層 → 仕上げの層 → 装飾の層」という流れが伝われば十分に理解してもらえます。

✅ 現場で伝わる「3つの層」の呼び方

  • Base coat / Under coat(下塗り)
  • Top coat(上塗り・仕上げ)
  • Decorative layer(加飾・蒔絵の層)

漆の世界は奥が深いですが、ゲストにとっては“役割の違う層が重なって美しく仕上がる”と理解できれば、それで十分なんですね。✨

英語は完璧でなくても、伝えたい「構造とイメージ」が伝われば、それが一番のコミュニケーションですよ!👍

1-4.蒔絵

今や海外でも通じる’Makie’ですが、ここも変化が少ない工程なので、4ステップで置きました。👤英語音声は英国女性話者です。

《日本語》

  1. 下地(漆を塗った木地)に漆で文様や文字などを描きます。
  2. 固まらないうちに金や銀の色粉を蒔いて、表面に定着させます。
  3. その後、漆で塗り固めて丁寧に磨き上げ、蒔絵と呼ばれる装飾が完成します。
  4. 山中塗ではその文様や文字が浮き上がり立体感を見せる技法も使われます。
    • 👉ここも「高蒔絵」の呼称は使わない例です。

《英訳例》

  • 1. A pattern or character is drawn with lacquer on the base (lacquered wood).
  • 2. Before it hardens, colored gold or silver powder is sprinkled on the surface to fix it in place.
  • 3. The lacquer is then hardened and carefully polished to complete the decoration called maki-e.
  • 4. In Yamanaka-nuri, a technique is also used to make the patterns and characters float and show a three-dimensional effect.

👥4文連続 英語音声

📘 Glossary 用語集

  1. Makie / 蒔絵(まきえ)
    • Makie (Sprinkled Picture Decoration)☛蒔絵(まきえ)– 漆で文様を描き、金・銀などの色粉を蒔いて定着させ、磨き上げて仕上げる日本の伝統装飾技法。
    • Base (Lacquered Wood)☛下地(したじ)– 漆を塗った木地。蒔絵のデザインを描く土台となる。
  2. Drawing & Powder Application / 描画と色粉蒔き
    • Lacquer Drawing☛漆描き– 下地に漆で文様や文字を描く工程。
    • Metal Powder Sprinkling☛色粉蒔き(いろこなまき)– 漆が固まる前に金粉・銀粉などを蒔き、表面に定着させる作業。
    • Gold Powder / Silver Powder☛金粉・銀粉– 蒔絵の輝きを生む金属粉。
  3. Finishing / 仕上げ
    • Lacquer Sealing☛塗り固め– 蒔いた金属粉を保護するために漆を重ねて固める工程。
    • Polishing☛磨き上げ– 表面を丁寧に磨き、蒔絵の光沢と立体感を引き出す仕上げ作業。
  4. Yamanaka Techniques / 山中塗の技法
    • Raised Effect Technique☛文様の浮き上がり技法– 山中塗で使われる、文様や文字が浮き上がって見える立体的な表現方法。
    • Three-Dimensional Appearance☛立体感– 蒔絵の文様が浮かび上がるように見える視覚効果。
匠 Takumi

✨《匠のひとこと解説:蒔絵の英語は“シンプルでOK”です》

匠 Takumi より

蒔絵の工程は、実際に見ていただくと「絵を描いて、粉をのせて、磨いて仕上げる」という流れがとても分かりやすいので、海外ゲストの方も迷わず理解してくれます。🖌️

そのため、英語で説明するときも難しい専門語を使う必要はまったくありません。

✅ これだけで伝わる!3つの基本動作

  • Draw with lacquer(漆で描く)
  • Sprinkle gold or silver powder(金銀粉を蒔く)
  • Polish to finish(磨いて仕上げる)

また、山中塗の特徴である「文様が浮き上がる技法」についても、用語集にある “three-dimensional effect” と言えば、一般ゲストにはしっかり伝わります。✨

💡 ワンポイント:
蒔絵は海外でも “Makie” として知られ始めています。固有名詞として紹介するだけで、ゲストの興味がぐっと高まるのも特徴ですよ。

蒔絵は“見れば分かる技法”なので、細かいニュアンスに拘らず、シンプルな言葉で十分にその美しさは伝わります!👍

2.近代漆器(作業工程)

 山中漆器の大きなビジネス上の特徴とも言える近代漆器の工房見学をするパターンです。実際にこの工程見学はビジネス目的のインバウンドに限られると思いますが、伝統漆器との対比(違い)を理解することは、伝統漆器自体の説明にも有用ですので、ご興味に合わせて、使えそうなところあれば、現場でもお試しください。👤英語音声は全て米国男性話者です。

2-1.成形

 ここも職人さんの動きを見れる部分は限られていますので4ステップです。

《日本語》

  1. 山中漆器では現代の多様なニーズに応えるためプラスティック素材を導入しています。
  2. 他の量産品工程と同じく、まず器の金型を作りその金型で樹脂を成型します。
  3. 金型設計で器の形状が決まりますので職人はこの工程で試作を重ねます。
  4. 高温の整形作業工程で不純物が除去され品質検査後、次の塗装工程へ移ります。

《英語》

  • 1. Yamanaka Lacquerware has introduced plastic materials to meet the diverse needs of today.
  • 2. As in other mass-production processes, a mold is first made for the vessel, and the resin is molded in the mold.
  • 3. The shape of the vessel is determined by the design of the mold, so the craftsmen make many prototypes in this process.
  • 4. After impurities are removed in a high-temperature shaping process and quality inspections, the vessel moves to the next step,the painting process.

👥4文連続 英語音声

📘 Glossary / 用語集

  1. Modern Materials / 現代素材
    • Plastic Materials☛プラスチック素材– 現代の多様なニーズに応えるため、山中漆器で導入されている新素材。
    • Resin☛樹脂(じゅし)– 金型を使って成形される素材。軽量で量産に適している。
  2. Mold Making / 金型製作
    • Mold (Kanagata)☛金型(かながた)– 器の形状を決めるための型。量産工程の基盤となる。
    • Mold Design☛金型設計– 器の最終的な形状を決定する重要工程。職人が試作を重ねて精度を高める。
    • Prototype Production☛試作(しさく)– 金型の完成度を高めるために行う繰り返しのテスト成形。
  3. Resin Molding / 樹脂成形
    • Resin Molding Process☛樹脂成形工程– 金型に樹脂を流し込み、器の形に成形する量産技法。
    • High-Temperature Shaping☛高温整形– 成形時に高温で樹脂を加工し、不純物を除去する工程。
    • Impurity Removal☛不純物除去– 成形品質を高めるために行われる重要な処理。
  4. Quality Control & Next Steps / 品質管理と次工程
    • Quality Inspection☛品質検査– 成形後の器をチェックし、欠陥がないか確認する工程。
    • Painting Process☛塗装工程– 成形後に行われる次の工程。漆塗りや塗装によって仕上げが施される。

2-2.塗装

ここは間近に見れる工程ではないので背景説明含め5ステップで置きました。

《日本語》

  1. 完成した成形品にさまざまな色で塗装されます。
  2. 多種多様な色が開発され、伝統漆器に近い木製感覚のある製品もできています。
  3. まずは成形された器に化学塗料をエアスプレーで塗布します。
  4. その後、約100度で30~60分ほど、熱風乾燥をします。
  5. 最後に、塗り職人の手作業による塗装で完成されます。

《英語》

  • 1. The finished molded product is painted in a variety of colors.
  • 2. A wide variety of colors have been developed, and products with a wooden feel similar to traditional lacquerware have been produced.
  • 3. First, chemical paints are applied to the molded vessels by air spray.
  • 4. After that, the paints are dried with hot air at about 100 degrees Celsius for 30-60 minutes.
  • 5. Finally, the painting process is completed by hand by a lacquer craftsman.

👥4文連続 英語音声

📘 Glossary / 用語集

  1. Painting / 塗装(とそう)
    • Painting Process☛塗装工程– 成形された器に色を施し、仕上げの質感を作る工程。
    • Color Variations☛多彩な色展開– 現代の需要に合わせて多種多様な色が開発され、木製のような質感を持つ製品も作られている。
  2. Spray Coating / スプレー塗布
    • Air Spray Application☛エアスプレー塗布– 化学塗料をスプレーで均一に吹き付ける工程。量産に適した方法。
    • Chemical Paints☛化学塗料– 樹脂成形品に使用される塗料。色の再現性が高く、耐久性もある。
  3. Hot-Air Drying / 熱風乾燥
    • Hot-Air Drying☛熱風乾燥– 約100°Cで30〜60分、塗料を乾燥させる工程。
    • Temperature Control☛温度管理– 塗膜の品質を左右する重要な要素。
  4. Hand Finishing / 手作業仕上げ
    • Hand Painting by Craftsman☛塗り職人の手作業– 最終仕上げとして職人が手作業で塗装し、質感と完成度を高める。
    • Final Coating☛最終塗り– 製品の見た目と触感を決定づける重要な工程。

2-3.蒔絵

ここも動きが少ないため、背景説明も交え5ステップとしました。

《日本語》

  1. この工程では、塗装された商品に印刷技術で蒔絵を加えます。
  2. 器の目的や用途に応じた多様なデザインで仕上げられます。
  3. 基本的には、シルクスクリーン印刷がベースになります。
  4. 更に、手作業による従来の蒔絵の技法も使われています。
  5. 金銀粉を用いて色のグラデーションや立体感を出す表現も可能です。

《英語》

  • 1. In this process, maki-e is added to the painted product using printing techniques.
  • 2. The product is finished with various designs according to the purpose and use of the vessel.
  • 3. Basically, silk screen printing is used as a base.
  • 4. In addition, the traditional maki-e technique by hand is also used.
  • 5. It is also possible to create color gradation and a three-dimensional effect using gold and silver powders.

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📘 Glossary / 用語集

  1. Makie on Modern Materials / 現代素材の蒔絵
    • Modern Makie☛現代蒔絵– 樹脂成形された器に、印刷技術や手作業を組み合わせて施す蒔絵装飾。
    • Printed Makie☛印刷蒔絵– 塗装済みの製品に印刷技術で蒔絵を加える方法。量産に適している。
  2. Design Variation / デザインの多様性
    • Design Adaptation☛用途に応じたデザイン– 器の目的や使用シーンに合わせて多様なデザインを施す工程。
    • Decorative Flexibility☛装飾の柔軟性– 印刷と手作業を組み合わせることで幅広い表現が可能になる。
  3. Silk Screen Printing / シルクスクリーン印刷
    • Silk Screen Printing☛シルクスクリーン印刷– 現代蒔絵の基本となる印刷技法。細かな模様も安定して再現できる。
    • Base Printing Layer☛印刷ベース– 蒔絵の下地となるプリント層。後の装飾を支える重要工程。
  4. Traditional Makie Techniques / 従来の蒔絵技法
    • Hand-Drawn Makie☛手作業の蒔絵– 職人が漆と金銀粉を使って仕上げる伝統技法。現代工程でも併用される。
    • Hybrid Technique☛ハイブリッド技法– 印刷と手作業を組み合わせ、効率と美しさを両立させる方法。
  5. Metal Powder Effects / 金銀粉の表現
    • Gold & Silver Powders☛金粉・銀粉– 蒔絵の輝きを生む素材。印刷にも手作業にも使用される。
    • Color Gradation☛色のグラデーション– 金銀粉を使って色の濃淡を表現する技法。
    • Three-Dimensional Effect☛立体感– 金銀粉の重ね方や配置で奥行きや浮き上がりを表現する技法。

特定の工程だけでなく、山中漆器のストーリー全体を英語で語れるようになると、ゲストの満足度は格段に上がりますので、必要に合わせてご活用ください。

御礼🔶後書き

TAKUMI
匠(Takumi)⚒ 日本の匠&伝統ガイド

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