本ブログでは、インバウンド(訪日外国人)ビジネスだけでなく、企業接待や留学生対応などで英語案内が必要ながら、多忙で情報収集に時間をかけられない方々のために、すぐに使える実践的な英語表現をわかりやすく解説しています。
👉本シリーズでは、「1字違いで意味が全く異なる紛らわしい英単語」を自由に使いこなせるようになることで、ネイティブとの共感英語力アップを目指しています。
英語表現に限らず、例えば「欲望」と「浴槽」、「飢える」と「終える」のように、母語話者なら絶対に間違えない一方で、外国語話者にとっては紛らわしく間違えやすい「類音異義語(発音が似ていて意味が異なる語)」が多く存在します。
今回のテーマは “lust” と “rust” です。ネイティブ・スピーカーでも聞き違えることが全くないわけではありません。特に方言や発音の癖によっては、特定の母音の区別が曖昧になることもあります。しかし、ほとんどの場合、両者はまったく異なる意味分野に属しているため、文脈によって混同は避けられます。とはいえ、英語を母語としない人々にとっては、理解していても慌ただしい現場で不意に間違えやすい代表的な表現の一つです。
《お勧めのご利用法》本記事はボリュームがありますので、目次から目的に合わせてピンポイントで活用も可能です。
✋ 各用語の違いをチェックしたい方は → 【A】各表現の意味&例文へ。
✊ 日常会話での使い方を知りたい方は → 【B】日常生活例文(Private & Business)へ。
👆 インバウンドで外国人をご案内する際に役立てたい方は → 【C】訪日外国人ご案内例文へ。
- 【A】各表現の意味&例文へ。
- 【B】日常生活例文(Private & Business)
- 【C】訪日外国人ご案内例文
- 1. Lust —晩年でも衰えない情熱家?@すみだ北斎美術館で
- 2. Lust —高い野望家ゆえに大炎上?@京都本能寺で
- 3. Lust — 愛欲家でも高貴だから憧れる?@京都宇治源氏物語ミュージアムで
- 4. Rust — 身から出たさびは日本刀のさび?@名古屋徳川美術館で
- 5. Rust — 銅鐸のさびは良し悪し?@東京上野トーハクで
- 6. Rusty — 達人技もさびついた?@都内の居合道体験で
- 7.Both — 悟りの境地はさびた欲望?@東京浅草寺で
- 8. Both —茶道のわびさびは艶の美?@京都大徳寺で
- 9.Both —俳聖はひなびたふりの貪欲さ?@松島で
- 10.Both — 枯れた強さが魅力のラストサムライ?@函館五稜郭で
- 御礼&後書き
【A】各表現の意味&例文へ。
まずは、それぞれの発音や意味の違いを、例文を交えてご紹介します。
1. Lust:強い欲望,性欲,肉欲,官能的欲望/飢える,欲情する
- 発音: /lʌst/
- Part of Speech: noun / verb
- 関連語:lustful, lustfully, lustiness, lusty
- Meaning: 非常に強い欲望(desire)や渇望(craving)を表す語です。通常は強い性的欲求を意味しますが、権力・金銭・冒険など、あらゆるものに対する強烈な憧れを指すこともあります。
Examples:
- (noun) He was driven by lust, not love.
(彼は愛ではなく欲望に突き動かされていた。)
- (noun) She has a lust for life and adventure.
(彼女は人生や冒険に対する強い憧れを持っている。)
- (verb, less common) He lusted after power.
(彼は権力を強く欲しがった。)
2. Rust:さび,鈍化,衰え,赤褐色/錆びる,鈍る,錆色になる
- 発音: /rʌst/
- Part of Speech: noun / verb
- 関連語:rusty, rustiness
- Meaning:鉄や鋼が濡れたり古くなったりすると生じる赤褐色の被膜(a reddish-brown coating)を指します。また、錆びるという過程(the process of becoming rusty)を意味します。比喩的にも使われ、「技術が鈍る」「感覚が鈍る」といった意味になります。
Examples:
- (noun) The old gate was covered with rust.
(その古い門は錆で覆われていた。)
- (verb) If you leave your tools outside, they will rust.
(道具を外に置いておくと錆びます。)
- (figurative) My English is getting rusty because I don’t use it often.
(英語をあまり使わないので腕が鈍ってきています。)
【B】日常生活例文(Private & Business)
ここでは、日常生活(私的シーン&職場シーン)で使われる会話例文を通して、それぞれの違いをチェックできます。異なるシチュエーションでの6つの短い会話を通して、微妙なニュアンスとリズム感の違いを体感してみましょう。
1. “Pure Lust” (愛でなく性欲?)
A: Did you see how he looked at her?
B: Yeah, that wasn’t love. That was pure lust.
(A:彼が彼女をどう見ていたか、気づいた? B:あれは愛じゃなくて、ただの欲望だったね。)
2. “Lust for adventure”(疲れより憧れ?)
A: You’re always traveling somewhere new. Don’t you ever get tired?
B: Never! I’ve got a real lust for adventure.
(A:いつも新しいところに行ってるけど、疲れないの? B:全然!冒険への憧れが強いんだ。)
3. “Lusted after power”(奉仕より権力?)
A: Why do you think he became a politician?
B: Honestly, I think he just lusted after power.
(A:なんで彼は政治家になったんだろう? B:正直に言うと、ただ権力を欲しがってたと思うよ。)
4. “Rust” (自転車のさび ? metal corrosion)
A: Wow, this bike looks old!
B: Yeah, it’s covered with rust. I should have kept it inside.
(A:わあ、この自転車すごく古そう! B:うん、錆びだらけだよ。中に置いとけばよかった。)
5. “Rust” (ナイフのさび? to become rusty)
A: Why don’t you dry the knife after washing?
B: Oh, right! It’ll rust if I don’t.
(A:洗った後ナイフを拭かないの? B:あ、そうだ!拭かないと錆びちゃうね。)
6. “Rusty” (語学力のさび? skills getting dull)
A: How’s your English these days?
B: Hmm… pretty rusty. I haven’t practiced in months.
(A:最近英語どう? B:うーん、かなり鈍ってる。もう何ヶ月も練習してないんだ。)
【C】訪日外国人ご案内例文
ここではインバウンドへの説明例文として、夫々違う3場面での例文と、最後にこの2用語の違いの使い分けレベルを高める為に両方混在する2例文でまとめました。
1. Lust —晩年でも衰えない情熱家?@すみだ北斎美術館で
Even in his twilight years, this world-renowned ukiyo-e artist never lost his lust for painting.(この世界的に有名な浮世絵師は、晩年になっても、絵への情熱を決して失うことはありませんでした。)
2. Lust —高い野望家ゆえに大炎上?@京都本能寺で
At this temple, the legendary samurai lost his life because of his lust for power and fame — just as the temple itself was consumed by fire.(この寺で、伝説の侍は権力と名声への欲望ゆえに命を落としました――寺が炎に包まれたのと同じように。)
3. Lust — 愛欲家でも高貴だから憧れる?@京都宇治源氏物語ミュージアムで
The protagonist of the world’s oldest and longest novel was a typically lusty man, yet everyone admired his noble image.(その世界最古の長編小説の主人公は典型的なラスティだけれどその高貴なイメージに誰もが憧れました。)
4. Rust — 身から出たさびは日本刀のさび?@名古屋徳川美術館で
No matter how great its historical value, a Japanese sword made of iron will rust and lose its worth if neglected — just like a human being.
(どんなに歴史的価値があっても、鉄である日本刀は手入れを怠れば錆びて価値を失います――人間と同じように。)
5. Rust — 銅鐸のさびは良し悪し?@東京上野トーハクで
Ancient bronze bells are covered in blue-green rust, yet their interiors often remain protected, allowing us to see them as they were in their time.
(古代の銅鐸は緑青(ろくしょう)に覆われていますが、内部はしばしば守られていて当時のものを見ることができます。)
6. Rusty — 達人技もさびついた?@都内の居合道体験で
Even the greatest iaido masters sometimes want to blame the rust on their swords, rather than admit that their own skills have gotten rusty. (たとえ最高の居合道の達人でも、自らの技の衰えを認めるより、剣の錆のせいにしたくなるものです。)
7.Both — 悟りの境地はさびた欲望?@東京浅草寺で
In early Buddhism, enlightenment is a state where desire has completely dried up — you could even call it rusty lust.
(原始仏教において、悟りとは欲望が完全に枯渇した状態であり、「さびた欲望」と呼ぶこともできるでしょう。)
8. Both —茶道のわびさびは艶の美?@京都大徳寺で
Through his own death, the legendary tea master completed the beauty of decay — what you might call ”lusty rust.”(自らの死をもって、その伝説的な茶人は“朽ちゆく美”を完成させた――まさに“lusty rust(情熱的なさび)”と呼ぶにふさわしい。)
9.Both —俳聖はひなびたふりの貪欲さ?@松島で
The haiku master’s works look rusty and restrained, yet behind them lies a lusty imagination — like describing a beautiful moon despite the rain.(俳人の作品はひなびて抑制されているように見えるますが、その裏には力強い想像力が潜んでいます――雨にもかかわらず美しい月を描くようにね。)
10.Both — 枯れた強さが魅力のラストサムライ?@函館五稜郭で
The last samurai, slain in the northernmost castle, is still admired for his rusty, yet strangely lusty image captured in old photos.(最北の城で討たれた最後の侍は、古写真の枯れながら、奇妙なほど強い姿ゆえに今も愛されています。)
御礼&後書き
お忙しい中、今回も最後までご覧いただき大変ありがとうございました。今回テーマ含め今後も定期的にブラッシュアップして参りますので、引き続きご参照のほど宜しくお願い致します。🔶Gold🔶R71014.v.4b.4b.4a/+

