ガイド現場で実際にあったこと
こんにちは!サクラです🌸 🎧 鳥英語一覧(音声付)はこちらから

白川郷をご案内していたときのことです。
ゲストから、前日に訪れた金沢城について、こんな質問がありました。
「金沢城の広場に、kiteに注意、という看板がありましたよね。何がそんなに大変なんですか?」
👉英語の発言は正確には覚えていませんが、恐らくこんな感じです。
“There was a sign in the plaza at Kanazawa Castle that said ‘Beware of kites,’ right? What’s the big deal?”
「kite?」
私は一瞬、🪁(凧)のほうを思い浮かべました。
その場所は金沢城の新丸広場。江戸時代には藩の御細工所が置かれ、戦後は金沢大学のキャンパスとしても親しまれた場所で、現在はさまざまなイベントにも使われています。
そこで、たぶん子どもたちが凧を揚げるからでしょう、と説明していたのですが、どうも話が噛み合わない。
そして、ようやく気がつきました。
この場合の kite は、空を飛んでいる「鳶(トビ)」だったのです。
ガイド中の雑談で起きた、ちょっとした笑い話ですが、実際に金沢城に限らず、色々な場所で鳥が話題になることは意外と多いので、今回はこれまで現場で関わった鳥の名前をご紹介します。鳥図鑑で覚えるのと違ったリアルな視点で、少しでも皆さんの記憶に残るものになればと思います。
意外と知らない「鳶=kite」
子供の頃から、日がな遊び疲れて、少し暗くなった空にトンビを見たことのある人は多いでしょう。
まさかこの年になって、海外ゲストとそのトンビについて英語で雑談するとは思いませんでした。(ガイド中、空を見上げて、鳥について聞かれることがホントに多いのです!)
ここで覚えておきたいのが、
kite = 凧
kite = 鳶
という、一見すると意外な組み合わせです。
日本語では「凧」と「鳶」でまったく別の言葉なのに、英語ではどちらも kite。でも語源は全く違っていて、それぞれ進化を経る中で偶々同じkiteになったようです。
鷹匠が扱う鳥は hawk だけではない?
金沢城(三の丸広場)では毎年鷹匠による放鷹術の実演をやるので、このあたりの英語での猛禽類の違いも整理してご説明します。
英語圏では猛禽類を使った狩猟全般を falconry、鷹匠を falconer と総称することが多く、ハヤブサ(falcon)の印象が強くあります。
falconry(狩猟全般)
falconer(鷹匠)
🦅ここで一旦鳥用語を整理します。
hawk(鷹):中型の猛禽類。森で急襲するタイプ。
eagle(鷲):大型の猛禽類。威厳・象徴性が強い。
falcon(隼):高速飛行の狩猟型。
kite(鳶):尾が二股。旋回型。
次に鷹と鷲の違いも、疲れてくるとうっかり混同してしまいがちなので、補足説明致します。
🦅 Hawk と Eagle の違い(日本語の「鷹・鷲」とのズレ)
英語の hawk と eagle は、生物学的分類よりも「サイズと役割」で使い分けられることが多いです。
- Hawk(鷹):中型/森で急襲/鋭い目つき
- Eagle(鷲):大型/長い翼で高く舞う/国章など象徴性が強い
国によって呼び方が揺れることもあり、
- 北米では “hawk” と呼ぶ鳥を英国では “buzzard” と呼ぶことがある
- “eagle” は比較的安定して「大型の猛禽類」
という違いもあります。
🏹 放鷹術で使う鳥はどれ?
日本の伝統的な放鷹術では、主に以下の鳥が活躍します。
オオタカ(goshawk)
ハヤブサ(falcon)
英語圏での総称は falconry ですが、実際にはオオタカ(Goshawk)なども大活躍します。
もし金沢城での放鷹術を英語で説明する際は下記が使えます。
This is a demonstration of traditional Japanese falconry. The falconer uses a goshawk and a falcon, which are birds of prey.(これは、日本の伝統的な鷹狩りの実演です。鷹匠は、猛禽類であるオオタカとハヤブサを使います。)
カラスは「賢い」? clever が腑に落ちた話
金沢城に限りませんが、庭園や街中を歩いていて、意外と話題になるのがカラスです。
日本だけでなく、海外でもカラスは身近な鳥。
よく使う共感フレーズは「やつらは頭がいいからねえ」ですが、smart はもちろん、知恵が回るニュアンスを込めて clever もよく使われます。
“Crows are very clever.”/“Crows are surprisingly clever.”
日本語でも人に対して「頭がいい」だけでなく「ずる賢い」「知恵が働く」といった感覚を表現するのにぴったりですね。
crow と raven の違い
もう一つ、カラスについての記憶残る会話はcrow と raven の違いです。
raven といえば、エドガー・アラン・ポーの The Raven でも有名です。
私は以前、crowもravenも「カラスの仲間」くらいに思っていました。
実際には、一般的にはravenのほうがcrowより大型で、ravenは日本語ではワタリガラスなどと訳されます。
“A raven is generally larger than a crow.”
「ravenは一般にcrowより大型です」
これは英国のゲストから言われたセリフ、今でも時々思い出します。
🕊️ pigeon と dove の本質的な違い
鳩も、街中でよく見る鳥ですが、何故か、カラスほどあまり話題になりません。でも急に聞かれることもあるので、pigeon と doveについても簡単に補足しますね。
pigeon と dove は、どちらもハト科(Columbidae)で、生物学的には同じグループ。
英語話者は「見た目・イメージ・文脈」で呼び分けます。
pigeon(ピジョン):都市のハト/ずんぐり/グレー系/実用的・一般的
dove(ダヴ):白く細身/優雅/象徴的/儀式的
語感の違いを一言で言うと
- pigeon は “街のハト”
- dove は “象徴的なハト(白くて細身)”
分類は同じでも、英語の語感は完全に別物です。
「サギ類」は heron?

兼六園で時々目にする heron!
金沢城の隣の兼六園では、時々、水辺に立っている鷺(サギ)を見かけます。
一般的に「サギ類」を説明するなら heron という語を覚えておくと便利です。 また、白いサギ類には egret という語も使われます(egret は白い heron の一種です)。
ちなみに、姫路城の別名「白鷺城」はWhite Heron Castle(または White Egret Castle)と表現されます。
このあたりのネタは話をつなげやすくなります。
時々話題になるカワセミ
兼六園の水辺にカワセミが現れると、カメラを構えた人たちが集まって、ちょっとした人だかりになることがあります。
面白いのは、海外ゲストの中には、カワセミそのものより、「あの人たちは何を待っているんですか?」 と、鳥よりも人だかりのほうに興味を持つこともあります。
カワセミは英語で、kingfisherと言いますが、そのほかにも、庭園や街中でよく見かける身近な鳥として、swan(白鳥)、duck(カモ)、sparrow(スズメ)、swallow(ツバメ)などがあります。以下に簡単に纏めますね。
🐦 kingfisher(カワセミ):鮮やかな青とオレンジ。水辺でダイブ。写真愛好家に人気。
🦢 swan(白鳥):優雅な水鳥。日本庭園では意外と少ない。
🦆 duck(カモ):身近な水鳥。オシドリは mandarin duck と呼ばれる特別な一種。
🐤 sparrow(スズメ)
🕊️ swallow(ツバメ)
👆sparrow(スパロウ)と swallow(スワロウ)は、語感が似ていて混同しやすいので、ガイド現場では即答できるようにしておくと安心です。
雷鳥はthunder bird ではありません!
鳥つながりで、雷鳥のことについてもご紹介します。
立山室堂にも詳細な展示物がありますので、海外ゲストを立山黒部アルペンルートにご案内する際に役に立つかもしれません。
Thunderbird はネイティブアメリカン神話の霊鳥で、日本の雷鳥(ライチョウ)とは無関係です。
雷鳥の英語名は:
ptarmigan(ターミガン)
rock ptarmigan(ロック・ターミガン)
Japanese rock ptarmigan(日本固有亜種)
※最初の P は発音しないサイレント P。
🌸トリビア:日本で「雷鳥=Thunderbird」と誤解されるのは、特急列車名の影響と言われています。
ウグイスは正確にはnightingale ではありません!
これは日本庭園よりも二条城や金沢の武家屋敷の廊下でよく使われるワードなので、既にご存知の方も多いですが、これも現場体験を交えて、ご紹介します。
色々なところで、ウグイス=nightingale と書かれているので、定番フレーズと思っておられる方も多いですが、鳥分類でいう正確な英語表現はbush warblerになります。
bush warbler は「ウグイス科の鳥」を指す分類名で、英語話者にとって nightingale(ヨーロッパのナイチンゲール)は別の鳥です。
私は基本的に最初にbush warblerと言って、腑に落ちないようであれば、nightingaleを使います。これまでの経験からお相手の理解度はざっと半々と言ったところでしょうか?
今回のTakeaway 🐦
最後に今回ご紹介した鳥用語を一覧にしましたので、記憶チェックや明日の大事なご案内の前に不安な用語があればご活用ください。(🎧各単語の英語音声は米国話者で、標準速度と50%低速の2部構成です。)
kite → 鳶/凧
hawk → 鷹
eagle → 鷲
falcon → 隼
goshawk → オオタカ
crow → カラス
raven → ワタリガラス
pigeon → ハト(街のハト)
dove → ハト(白く象徴的)
heron → サギ
egret → 白いサギ
kingfisher → カワセミ
swan → 白鳥
duck → カモ
mandarin duck → オシドリ
sparrow → スズメ
swallow → ツバメ
ptarmigan → 雷鳥
rock ptarmigan → 雷鳥(種名)
Japanese rock ptarmigan → ニホンライチョウ
bush warbler → ウグイス
nightingale → ナイチンゲール(誤用されやすい)
🌸 今回の現場メモ
ガイド現場は毎日が小さな実験の連続です。これからも「これ!」という表現を見つけたら、このシリーズで少しずつご紹介していきます。

👆 今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。このブログについて気になることやご要望などありましたら、下記まで気軽にお声がけくださいね。

